既婚者マッチングという“語られない領域”に、設計者はどう向き合うべきか
「UX」とは、単なる操作性やユーザビリティを超えた“人間の体験”そのものです。
では、そこに倫理・孤独・欲望・罪悪感といった“重たい感情”が絡んできたとき、UX設計者はどこまで踏み込むことができるのでしょうか?
私たちINKUBOIが取り組み始めた「既婚者向けマッチングサービス」は、その問いを突きつけてきます。
■ これは“誰かの背徳”を助長しているのか?
最初にこのプロジェクトの話をしたとき、何人かからはこう言われました。
「倫理的にアウトでは?」
「不倫を助けるサービスなんてやるの?」
正直、そう思われても仕方ない部分はあります。
しかし私たちが見ているのは、「浮気を助長するサービス」ではなく、“語られてこなかった感情の居場所”を設計する試みです。
■ 「感情の臨界点」に触れるUX
人はなぜ、愛されているのに寂しいのでしょうか?
なぜ、家庭がありながら、別の誰かに惹かれてしまうのでしょうか?
それは、「機能としての家族」と「感情としてのつながり」が、必ずしも一致しないからです。
そしてその違和感が、積極的に語られることなく、封じ込められてきたのです。
我々が設計しているのは、そうした抑圧された感情が噴き出す“臨界点”に触れる体験です。
UXとは、「便利な操作」を設計することではなく、人間の奥底にある感情をどのように受け止めるか、という思想の実装です。
■ サービス設計に必要な“覚悟”
このサービスには、軽率に「売れるからやる」という姿勢では臨めません。
以下のような緊張感と、設計者としての覚悟が求められます。
• 関係性を壊さず、感情を肯定するバランス
• 匿名性と安全性の高度な両立
• 共感と欲望のグラデーションに寄り添う設計
• 「対話」を生み出すUIのニュアンス
私たちは、恋愛を「出会いの機能」ではなく「人間の再定義の場」として捉え、UX設計をしています。
■ INKUBOIがこの領域に挑む理由
私たちのビジネス領域は、「人間が持つリアルな葛藤」に深く関わっています。
たとえば、不動産の相続における家族の感情や、企業変革における組織の不安も、すべて“感情のUX”です。
今回のマッチングサービスもまた、単なる「出会い」ではなく、社会が切り捨ててきた感情に“設計”という形で向き合う試みです。
誰も語りたがらない領域にこそ、未来のインサイトが埋まっている。
私たちはそう信じて、感情UXの臨界点に挑みます。
■ 最後に:問いかけ
「UXをやってます」と語る人が多い時代。
けれど本当に感情に触れたUXを設計している人は、どれだけいるでしょうか?
あなたは、どこまで踏み込みますか?
“してはいけない”を抱える人の、その心のUXに。
次回予告:「なぜ、既婚者は“もう一度”誰かに会いたくなるのか?」──ユーザーインタビューから見えてきた、潜在ニーズの正体とは。
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